こんにちは。BLOC NATIONラボチームです。

本記事では、前々回からご紹介しているOpenIDEOの社会課題に対するチャレンジの第三弾をお伝えしていこうと思います!(もしご興味がある方は、この記事の最後に前回までの記事のURLを載せておりますので見てみてくださいね。)

今回のテーマは、「 “Global South (南のエリア、途上国)”における人々の コロナ禍での生活」についてです。同地域の、特に郊外に住む低中所得層の人々がコロナ期間にどのような問題を抱えているのかに共感し、革新的な解決策を見つけるべくアイディエーションをする内容になっています。

この”COVID-19 GLOBAL SOUTH HEALTH AND LIVELIHOODS CHALLENGE”について、 記事ではチャレンジの概要と私たちラボチームがどのようなアイディアを出したのかを中心にご説明しながら、他の参加者のアイディアも一部取り上げてご紹介していきます。

目次

  1. IDEO/ OpenIDEOについて
  2. チャレンジの背景と概要
  3. アイディア紹介
  4. おわりに

1.IDEO/ OpenIDEOについて

IDEO社は、世界でもっともクリエイティブと称されるデザインファームで、「デザイン思考」の手法を用いて様々な企業の課題を解決している企業です。分野横断的なチームが数多く存在しており、Apple, Microsoft, P&Gなど名だたるグローバル企業の課題解決も行なっています。

そしてOpenIDEOは、IDEOの オープンイノベーション実践の場としての役割を期待され2010年に創立した社会課題の解決を目指すグローバルコミュニティです。200以上の国と地域の人々を巻き込みながら、これまで70ほどの社会課題の解決に取り組み、国や地域、各セクターを超えてオープンイノベーションの実践の場を提供しています。

扱ってきたテーマも幅広く、食糧ロスの問題から女子生徒の教育について、さらにエボラ出血熱などがあります。

2.チャレンジの背景と概要

https://www.openideo.com/challenge-briefs/covid-health-livelihoods

1. 背景

今回のチャレンジでフォーカスしている地域は”Global South”であり、定義としては一般に広くラテンアメリカ、アジア、アフリカ、中東、オセアニアの地域の国々を指しています。

背景について軽く触れますと、これらの地域(特にブラジル、メキシコ、インド、ペルーなど)では政府によって都市封鎖などの対策が既になされているものの、 8月時点でのコロナウイルス関連による死亡率は非常に高く報告されています。

そんな中、同地域に住む低中所得層の人々はこのコロナ禍を生き抜くにあたって様々な問題に直面しています。 それは「働きに出て収入を得る代わりにコロナに感染するリスクを背負うか、もしくは家にいて感染リスクは減るが収入を手放すか」という選択不可能な問題です。そしてこの問題に対しまだ強固な方針や見通しが立っていないのも事実です。

2. 概要

この問題を深刻に捉え、OpenIDEOが今回のチャレンジを始動しました。

プロジェクト全体の問いかけ(≒取り組むべきテーマ)は、『How might we support low- and middle-income families in the Global South to stay healthy while maintaining a sustainable livelihood during the COVID-19 pandemic?(どのようにして、私たちは途上国に住む低/中所得層世帯の健康を、COVID-19のパンデミック下において持続可能な生活を維持しながらサポートできるだろうか)』です。

アイディエーションを公募するにあたって、参加者には 以下のような 解決策のアプローチ領域が提示されています。
1. 非正規労働 2.  生活必需品の確保 3. 公共交通機関等の移動手段 4. 感染経路の追跡 5. その他

提出の際の記載事項としては、解決策アプローチの選択、アイディアのタイトル、具体的内容、アイディアを実際に始める際に障壁となると思われる事項(実現可能性、実行可能性、順応性)等がありました。

3.アイディア紹介

では次に私達ラボチームがどのようにアイディエーションを行い、どのようなアイディアを出したのかについてご紹介していきます。そのあと、提出されたアイディアのうちOpenIDEOに選出されたトップアイディアについても少しご紹介できたらと思います。

1. ラボチームのアイディエーション

ツールはZoom、それからMiroというオンラインのホワイトボードツールを使用しました。(Miroについて(英語版):https://help.miro.com/hc/en-us/articles/360017730533-What-Is-Miro-)

流れとしては、大きく①情報を集める→②課題の発見→③解決策のアイディエーションというステップで、3人チームで取り組みました。

①情報を集める

今回のテーマがあまりなじみあるものではなかったこともあり、まず現状を正確に把握しようと情報収集から始めました。

デザイン思考のステップで、共感/インスピレーションを集めるという第1フェーズがあります。通常であれば現地でフィールドワークによってインタビューや観察などを行います。今回はオンラインでの実施ということで、まず実状について知るべくインターネットで情報を収集することから始めました。

② 課題の発見


情報を収集したあと、Miroのボード上で課題を挙げていきます。ここで意識することは、単にネットで得られた情報だけではなく、人々がどのような課題を抱えていそうか、自分だったらどんな課題を抱えているかを想像しながら付箋機能に書き込んでいくことです。

出た課題としては、医療体制が整っていない、公衆衛生の問題、交通機関の混雑などがありました。

そこから、本質的な課題は何かを洞察し、解決したい課題を選択します。

特にラテンアメリカの地域に着目して考えたとき、そこでは上記に挙げた問題以外にも宗教に関連した課題もあるのでは、と考えました。ラテンアメリカでは約90%がキリスト教信者だと言われており、キリスト教信者には宗教行事としてミサを行う習慣があります。

日本は無宗教の国とも言われているのでなかなかイメージが湧かないかもしれませんが、宗教を熱く信仰している人々にとって宗教行事は大切な日課であり、日常生活の一部といっても過言ではないでしょう。

実際にキリスト教に限らず、宗教行事のために人々が集まって密状態になり感染リスクが高い空間が形成されてしまうことは、世界で問題視されていることでもあります。今回私たちは解決策アプローチ5. その他として、この課題に取り組むことにしました。

③アイディエーション(創造)


課題を設定したらアイディエーションのフェーズに入っていきます。ここでもMiroのホワイトボード上にアイディアを書き込んだ付箋を張り付けていきます。

アイディエーションにあたってブレインストーミングを行うのですが、その鉄則についてご説明します。

【ブレインストーミングの鉄則】

ブレインストーミングには以下6つのルールがあります。

静かに始める

すぐ話始めるのではなく、まずは各自で考え、付箋に書き込んでいく時間を取るようにしましょう。他人から影響を受けない、自分だけのクリエイティブなアイディアを生み出すことに有効です。

一つにこだわらない。

メンバー全員がポストイットでアイディアを出し終えてから初めて、絞り込みや検討するようにしましょう。

意見の出しやすい雰囲気を作る。

誰がいついいアイディアを出すかは分かりません。そこで鍵となるのは、メンバー全員が自由に意見を言え、周りもそれに付け足し広げていけるような雰囲気を作ることです。

一見風変りな意見も積極的に取り入れる。

一見風変わりなアイディアが、クリエイティブなアイディアへのつなぎとなることが多いのです。

言葉だけで終わらせない。

アイディアのスケッチを描きましょう。脳の別の部分が刺激されますし、アイディアが可視化されるので他のメンバーもそのアイディアを別の観点から広げやすくなります。

ネットを通じたブレインストーミングも想定する。

例えオンラインだったとしても一人一人が受け身にならず積極的に取り組むことが大切です。

さてこれらのルールを意識したうえで、私たちはコロナ期間中であっても人々が過密状態にさらされることなく安全に、安心して礼拝などの宗教行事を行えるようなアイディアとして、時短礼拝オンライン礼拝仮礼拝施設の設置(検温ロボの設置やパーテーション、フェイスシールド、ソーシャルディスタンスを保つ、配布物には手袋する、席のアルコール除菌など徹底)を考えました。

もちろんこのアイディアを実現するために課題はたくさんあります。オンライン礼拝をおこなうためのデバイスの確保仮施設の設置費用、はたまたストイックな信者からはこのような形で行うことに対しての反発もあるかもしれません。

私たちはどのようにしてGlobal Southの地域に住む人々が持続可能な生活を営めるようにサポートできるのかという問いは、一見壮大なテーマのように感じられもしかしたら自分には関係ないと思ってしまいがちかもしれません。

ですが実はもし自分がその人たちだったらどうだろうか、どんな思いや課題を抱えているだろう、と問いながら考えてみるとどうでしょうか。身近なテーマに落としていくことが出来ますし、より視野が広がります。またそうした気付きを、このテーマだけでなく日々の生活の中でも増やしていけると、自分が今まで思い付かなかったような革新的なアイディアも創出する手助けとなるのではないでしょうか。

2. 選出アイディアの紹介

続いて、主催者側より選ばれたアイディアを二つほどご紹介していきます。

まず一つ目は Tu Consejeria という組織が提案した、メンタルケアが必要な若者や女性と専門家とを繋げるアプリです。こちらはトップアイディアとして選出されました。

コロナ期間で外出禁止令が発動されたことで深刻な精神疾患を抱えてしまう人が出てきたことがアイディア着想の背景のようです。グアテマラの女性や非正規雇用者などにフォーカスし、 テクノロジーを活用したこのアプリによって彼ら彼女らの孤独や熱意や願望の欠乏、低い自己肯定感、鬱などの改善に取り組むアイディアでした。

アイディアはこちらから→https://challenges.openideo.com/challenge/covid-19-global-south-health-and-livelihoods-challenge/top-ideas/bridging-the-gap-of-mental-health-access-of-underserved-youth-and-women-in-central-america

二つ目はCool-Kという組織のチームが提出したアイディアで、彼らの冷蔵庫「Cool-K」を活用した案です。

https://twitter.com/OpenIDEO/status/1311732257795706880/photo/1

この冷蔵庫は、電気いらずで食料を保存することのできる冷蔵庫なので、都市だけでなく郊外やローカルなエリアでも問題なく使用できるそうです。事実、ペルー国内の約39%の家族が冷蔵庫を持っておらず、そのため感染リスクにさらされながら日々の食事を買いに行かなければならない人たちがいます。

そうしたペルーの低所得層の世帯を助けるという彼らのこの案も、賞賛すべきアイディアとして選出されました。

アイディアはこちらから→https://challenges.openideo.com/challenge/covid-19-global-south-health-and-livelihoods-challenge/ideas/cool-k

4.おわりに

いかがでしたか。本当にいろんな国のいろんな組織や個人がそれぞれ多様なアイディアを出していました。デザイン思考のプロジェクトに取り組む際にとっても大切になるのが、「枠にはまらない」や「否定しない」というルールです。そうすることで今までには思い付かなかったような革新的なアイディアを創出することが出来る、というのがデザイン思考の有効性なのです。提出期間は終わっていますが、皆さんもぜひ皆さんなりのアイディアを出してみてはいかがでしょうか。

最後になりますが、当社はオフライン/オンライン双方でのワークショップを開催しておりますので、本記事を読んでいただいて「デザイン思考や経験デザインについてもっと知りたい!」「実践的に自社組織で活用するには?」などなどご興味を持っていただけましたらぜひご参加ください。

【11月のワークショップのご案内】

〇Design Thinking Day #8 | 実践型ワークショップで革新的なビジネスをデザイン!(COVID-19 Redesign Challenge)
→スタジオ(オフライン)開催となります。

詳細はこちら:https://design-thinking-day-20201121.peatix.com/view

〇経験デザインの始め方#5 | COVID-19 GLOBAL SOUTH HEALTH AND LIVELIHOODS CHALLENGE→オンライン開催で、ラボチーム主催となります。

詳細はこちらから:https://bloc-online-20201128.peatix.com/view

最後までお読みいただきありがとうございました!

参考

これまでラボチームが執筆したOpenIDEOのチャレンジの記事です。よろしければ、ご興味があるテーマについて読んでみてください!

第一回目→”COVID-19 REIMAGINE LEARNING CHALLENGE” ー OpenIDEO http://bloc-blog.com/2020/06/24/covid-19-reimagine-learning-challenge-open-ideo/

第二回目→”BEYOND THE BAG CHALLENGE” ー OpenIDEO http://bloc-blog.com/2020/10/20/beyond-the-bag-challenge%e2%80%95openideo/

出典)

https://jp.ideo.com/about

https://www.openideo.com/faq-general

https://www.openideo.com/challenge-briefs/covid-health-livelihoods

https://challenges.openideo.com/challenge/covid-19-global-south-health-and-livelihoods-challenge/top-ideas/bridging-the-gap-of-mental-health-access-of-underserved-youth-and-women-in-central-america

https://challenges.openideo.com/challenge/covid-19-global-south-health-and-livelihoods-challenge/top-ideas/bridging-the-gap-of-mental-health-access-of-underserved-youth-and-women-in-central-america

https://twitter.com/OpenIDEO/status/1311732257795706880/photo/1


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