デザイン思考、デザインシップなどデザインに関連する記事を多く扱ってきた当ブログですが、今回はデザインの中でも「本」のデザインをピックアップします。本のコンクールといえば芥川賞や直木賞、本屋大賞などが真っ先に思い浮かびますよね。しかし、このコンクールは本の中身ではなく装丁などのデザインを競うものです。

発信したいことがせっかく良い内容でも、形式の硬さや分かりづらさが邪魔をして伝わらないなんてもったいないと思いませんか?当記事は、物語に限らず何かを伝えたいときのデザインの仕方を考える上で参考になると思うので、ぜひ最後までお読みください!本に込められたメッセージを最大限に顧客へ伝えるべく、ありとあらゆる工夫を凝らす出版・印刷業界のこだわりを見ていきましょう。

世界で最も美しい本コンクールとは?

まず「世界で最も美しい本コンクール(正式名称:BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLD)」とは、1963年から開催されていて世界的に権威のあるブックデザインの国際コンクールで、毎年2月にライプチヒで開催されます。専門家によって【デザイン・コンセプト、機能性、タイポグラフィー(字の書体や配置のデザイン)、素材の選択、印刷、製本等】の観点から審査され、金の活字賞、金賞、銀賞、銅賞、佳作賞が用意されています。エントリーされるのは、各国のブックデザインコンクールで受賞した作品のみです。

今回の展示では、2019年に開催されたコンクールの入選図書11点に、7カ国(日本、ドイツ、オランダ、スイス、オーストリア、カナダ、中国)の入選図書を加えたおよそ170点が陳列されていました!写真はNGだったので、各出版社のサイトなどから引っ張ってきた画像を使用してご紹介していきます。

金の活字賞

(『アムステルダム・スタッフ』ファン・ズテンダール出版のページより)

最優秀賞とされるのが「金の活字賞」。これに輝いたのが、オランダからエントリーされた『アムステルダム・スタッフ』です。2018年に開通した地下鉄の建設中に発掘された品々の写真集となっています。解説によると、

・インディアン・ペーパーという特殊な紙を使い、透け感を見せることと軽量化に成功している点

・写真の配置にこだわりが見られる点

などが評価ポイントなんだそう。ブックデザインに明るくない筆者からすると「そういうものなのか…」といったかんじですが、これが世界最高レベルのデザインだということです。

ちなみに入賞作品の中で印象に残ったものとして、ページに無数の穴を空けところどころに区切りをつけたデザインが施されている本がありました。解説によれば、これは自殺に関する本で、点は自殺者数を年代別に表したものとのこと。単なる統計よりもはっとさせられます。

日本 造本装幀コンクール

さて、冒頭で、エントリーされるのは各国のブックデザインコンクールで受賞した作品のみと書きました。日本のブックデザインコンクールにあたるものは、「造本装幀コンクール」です。こちらの入賞作品も一部展示されていたので、中でも印象に残った作品を3点ご紹介します!

【愛なき世界】

(『愛なき世界』中央公論新社のページより)

小説「舟を編む」で有名な三浦しをんさんが執筆したもので、日本書籍出版協会理事長賞の文学・文芸 (エッセイ)部門受賞作品です。小説の世界観にふさわしいデザインと評されていました。本当にきれいで、つい購入して家に置きたくなってしまいますね!

【水温集】

(『水温集』古本屋「弐拾dB」のTwitterより)

水につけると紙が溶け、文字だけが浮かび上がる詩集。アイディアがとても面白いです。調べてみると、現在Twitterで話題の本とのこと。紙は水に溶けるだけあってとても薄く破れやすいため、手に取るときは白手袋着用が義務付けられていました!笑 審査員奨励賞です。

【聖書 聖書協会共同訳 引照・注付き】

(『 聖書 聖書協会共同訳 引照・注付き 』日本聖書協会のページより)

日本書籍出版協会理事長賞の専門書(人文社会) 科学書・自然科学 書等)部門受賞作品。ブックデザインとは縁の遠そうな「聖書」が入賞していたので、興味を惹かれました。ステンドグラスのような表紙の美しさやルビ用のフォントによる見やすさの実現、軽量化の成功等が評価されたそうです。敬遠されがちである硬い専門的なコンテンツでも、工夫によって手に取りやすくなる例の典型だと思います。

終わりに

いかがでしたでしょうか。皆さんにとっての「デザイン」の幅が少しでも広がったなら嬉しいです。世界のブックデザイン展は3/29㈰まで印刷博物館にて開催されているので、興味のある方はぜひ足を運んでみてくださいね!

 

参照サイト:

造本装幀コンクール [online] http://www.jbpa.or.jp/zohon/zohon-index.html (アクセス日:2020130日)

Pen 34カ国が参加する「世界で最も美しい本」賞、今年の大賞は?[online] https://www.pen-online.jp/news/culture/0515_beautifulbook/1 (アクセス日:2020130日)

 


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