ホテルに来る人々は、お客様という仮面を被っている…ホテルマンはお客様の素顔を想像しつつも、その仮面を尊重しなければなりません。決して、剥がそうと思ってはなりません。ある意味お客様は、仮面舞踏会を楽しむためにホテルに来ておられるのですから(東野圭吾『マスカレードホテル(集英社)』より)。

この台詞のとおり、ホテルは私たちに非日常を提供してくれる素敵な空間ですよね。そこで働くホテルマンやホテルウーマンを見て憧れを抱く方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな華やかなホテル業界の現状、そしてこれからについて見ていきます。

ホテル業界の現状

一言で言うと、ホテル業界は好調です。大きな理由の一つは、訪日外国人の増加。2018年の訪日外国人数は過去最高記録を更新し、3000万人を超えました。政府は、オリンピックがある来年2020年には4000万人の訪日を目標としているとのこと。近頃新しいホテルが次々とできているようです。こちらをご覧ください。↓ 成長は右肩上がりですね!

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(業界動向)

また、サービスの主軸は「モノ」を離れて「コト」に移りつつあります。顧客の経験に直接働きかける「コト産業」であるという性質を見ても、時代の流れに乗った業界といえるでしょう。

ホテル業界の課題

追い風が吹くばかりのように思えるホテル業界ですが、課題も存在します。

まず一つ目が、競合産業の活発化です。民泊の存在はご存知の方も多いはず。個人宅を宿泊施設として提供するビジネスモデルですが、貸す側は利益が出ますし、借りる側はホテルよりも安く泊まれるので便利ですよね。2018年には「住宅宿泊事業法(民泊新法案)」、つまり民泊のための法律まで施行されました。

他にも、「グランピング」という競合産業があります。これはグラマラス(glamorous: 魅力的な)とキャンピング(camping)をかけ合わせた造語で、優雅で超贅沢なキャンプのことです。キャンプを楽しみたいけど、自分で食材を用意したりテントを張ったりと準備が面倒でなかなか腰が上がらない…という方は多いはず。しかしこのサービスは、それらの面倒事全てを代わりにやってくれるのです。写真のイメージはこちら↓

「星のや富士」(じゃらんnet)
「Rockhills Garden」(じゃらんnet)
 

このように、宿泊サービスに関してニーズに合わせた様々な形のものが出てきており、この状況でホテルがどのように戦っていくかが問われます。

二つ目は、人手不足です。

(BOWGL)

こちらは、日銀の調査による雇用人員の判断指数です。これを見ると、宿泊・飲食サービスが郡を抜いて人手不足であることが分かります。業界としては拡大しつつありますが、一方で人は足りていないということです。

また同じく厚生労働省によると離職率も高く、2018年の調査では全業界の中で1位となっています。

主な原因は、過酷な労働状況です。

まずホテルは深夜や早朝にも人が常勤していなければならないため、その時間のシフトが組まれることがあります。また、年間の休日も少ないそう。土日・祝日にこそ働かなければならないので、他の業界のような休みが取れません。平日に休みが取れたとしても、他業界の友人などの休みと合わないので不便です。

 このような労働環境の悪さが、深刻な人手不足や高い離職率につながっているといえます。

解決策

①競合サービスの出現

②人手不足

という、ホテル業界の主な2つの課題を挙げました。ではホテル業界はこれらの課題を前提に、将来を見据えてどのような対策を取るべきなのでしょうか。

まず、①民泊やグランピングなどの競合についてですが、これらは宿泊サービスを利用する顧客の中でニーズが分かれるところに注目したものです。通常のホテルであれば、観光ついでに少し贅沢をしたい顧客をターゲットにしているでしょう。その点民泊は、ホテルほど環境は良くなくても、その地域に根付いた文化を直接体験したい、また安く泊まりたいというニーズに応えています。グランピングは、宿泊の一形態である「キャンプ」や、高級感に憧れる層に人気と言えそうです。

ホテル業界は、こうした視点を取り入れていく必要があります。ニーズに合わせて既に存在するものと協力したり、新たな事業を展開したりするなどの対策を取り、時代に乗り遅れないようにすることが大切です。

次に、②人手不足について。

労働環境が悪いと業界人気の低下や離職率の上昇につながるだけでなく、従業員によるサービスの質が下がります。生の人間からの上質で心のこもったサービスが期待されているホテル業界において、それは致命的です。つまり、人手不足だからAIで代替する、という単純な話ではないのです。

そこで注目したいのが、「従業員ロイヤルティ」という考え方。従業員の企業に対する信頼や愛着のことです。この度合いを数値化したものが従業員NPSで、数値が高いほど良いとされます。会社に愛着があると、人材を紹介したり、サービスについての意見を言ったりするなどの行動につながるため、経営にプラスの効果が期待できるのです。(詳しくはこちら→http://bloc-blog.com/2018/09/09/xd-library-employee-nps/

つまり、人手が足りないからといってAIに頼ったりただ求人広告を増やしたりするのではなく、まず従業員の声に耳を傾け、時には積極的に働きかけて労働環境を改善し、愛着度を高める努力をする必要があるでしょう。

終わりに

いつもより少し長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。

ホテル業界にこんな裏側があるなんて…ホテル自身も仮面を被っているようですね。内実まで華やかなイメージそのままであってほしいですが、なかなかそうもいかないようです。

しかし、これからの成長がとても楽しみな業界の1つであることは間違いありません♪

 

参照サイト:

業界動向serch.com、ホテル業界。[online] https://gyokai-search.com/3-hotel.html (アクセス日:2019/09/05)。

じゃらんニュース 「流行中!ラグジュアリーな超贅沢キャンプ「グランピング」おすすめ11選! 」 [online] https://www.jalan.net/news/article/27767/ (アクセス日:2019/09/05)。

 


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