近年耳にする「デザイン経営」って何?
そう感じる人が少なからずいるはず。
まず、そもそも「デザイン」という言葉の意味を聞かれて答えられる人は多くないのではないでしょうか。

目次
1デザイン
2デザイン経営誕生の背景
3デザイン経営
4イノベーション
5時代の推移
6政策提言
デザイン
調べてみると、「デザイン」とは設計や図に加え、製品の機能や美的造形を考慮した意匠計画とあります。
また、「デザイン」はラテン語の「Designare」という言葉から来ており、「ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現すること」という意味があります。
つまり、「デザイン」はあらゆるビジネスにおいて企業が大切にしている価値、それを実現しようとする意志を表現する営みとされています。
また「デザイン」は人々のニーズを掘り起こし、事業にしていく営みでもあるとされているためイノベーションを実現する1つの要素であるとも考えられています。
以上のように「デザイン」を活用した経営方法を「デザイン経営」と呼ばれています。
デザイン経営誕生の背景
では何故デザイン経営が注目されるようになったのでしょうか。
そこには明白な背景があります。
近年、日本では「人口減少」「少子高齢化」「人手不足」ご叫ばれています。
このような事態は日本の労働力の衰退を招きます。
また、第四次産業革命によりあらゆる産業が新技術の荒波を受け従来の常識や経験が通用しない大変革を迎えようとしている世界において日本は確実に衰退していきます。
そのような世界において通用するためにはどうすればいいのか?
そこで誕生したのが「デザイン経営」です。
顧客のニーズを真に理解し企業の価値と意志に照らし合わせることで、世界に通用する事業化を構想するのです。
デザイン経営
あらゆる場面で活躍するデザイン経営ですが、具体的にどのような場面で効果が出ているのでしょうか。
いくつか説明していきましょう。
1.デザイン経営の定義
企業の価値向上に様々な利益をもたらすデザイン経営ですが、デザイン経営にもいくつか定義(条件)があります。
①経営チームにデザイン責任者がいること
②事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること
以上の2点がデザイン経営の定義とされています。
2.デザイン経営の取り組み
デザイン経営の実践においては複数の取り組みを一体的に実施することが望ましいとされています。
①デザイン責任者の経営チームへの参画
②事業戦略・製品・サービス開発の最上流からデザインが参画
③「デザイン経営」の推進組織の設置
④デザイン手法による顧客の潜在ニーズの発見
⑤アジャイル型開発プロセスの実施
⑥採用および人材の育成
⑦デザインの結果指標・プロセス指標の設計を工夫
以上がデザイン経営のための具体的な取り組みとされています。
3.デザインの投資効果
デザインへの投資を行う企業は高いパフォーマンスを発揮しているとされています。
実際にBritish Design Councilはデザインへの投資により4倍の利益が得られると発表しています。
イノベーション
デザイン経営がどのようにイノベーションに繋げるのか。
そもそもイノベーションとは「技術革新」「発明を実用化し、その結果として社会を変えること」という意味とされています。
人々のニーズを理解し新しい価値に結びつけることからイノベーションが生まれます。
つまり、イノベーションが生まれるまでに必ず「デザイン」が関わっています。
時代の推移
第四次産業革命以降世界の主戦場は「ソフトウェア」「ネットワーク」「サービス」「データ」「AI」にシフトしています。
上記の分野において何が重要だとされているのか。
それは「顧客体験の質」です。
そのため、顧客体験の質を高める手法であるデザイン経営に注力する企業が増えました。
また、データやAIビジネスが浸透する世界において間も無く「ネットワーク」「データ」が全てをを飲み込む時代がやってくる。
このようなイノベーション競争を先導するのは「グローバル企業」だとされています。
そのようなグローバル企業では質の高い顧客体験の設計するためのビッグリードを活用しプラットフォームやデータをデザインし競争力の高いビジネスモデルを築いています。
政策提言
経済産業省・特許庁は政府が実施すべき施策や取り組みをまとめています。
1.情報分析・啓発・・・経営層の意識向上、企業・行政へのデザイン導入の後押し、継続的取り組みの促進
2.知財・・・保護の拡大、意匠権取得の手続きの改善
3.人材・・・企業の人材需要への対応、海外からの高度人材の迅速な獲得、東京のクリエイティブ都市化推進
4.財務・・・企業の財務面からのデザイン推進意欲醸成
5.行政の実践・・・行政サービスの質の向上
以上の5つの切り口から政策提言は構成されています。
政府は民間企業含めた企業全体にデザイン経営を推進し、制度面からも企業の取り組みを後押ししています。