今回扱うのは、組織のマネジメントシステムを分析するためのフレームワークである「VSPROモデル」です。このフレームを使うことによって、これから行おうとしている企業活動に対して内部体勢をどのように改善すればよいのかを効率的に考えることができます!
VSPROモデルの構成要素

VSPROモデルで検討するのは、以下に挙げる5つの要素です。
ビジョン (Vision、V):「どのようなビジョンか」「そのビジョンは適切か」
戦略 (Strategy、S):「どのような戦略か」「戦略はビジョンに沿ったものか」「競合と差別化できるものか」
プロセス (Process、P):「戦略実行のためのプロセスはどのようなものか」「そのプロセスは戦略に沿ったものか」
リソース (Resource、R):「どのようなリソースがあるか」「プロセスを遂行するのに十分か」
組織 (Organization、O):「組織構造はどのようなものか」「戦略・プロセスを実行できる構造か」「従業員の理解は十分か」
マネジメントシステム改善の流れ

システム改善に向けては、
①理想のマネジメントシステムのVSPROを分析する
②現状のマネジメントシステムのVSPROを分析する
③現状と理想の隙間を埋めるための動きを考え、実行に移す
というステップを踏むと良いでしょう。理想を確認してから現状を見ることで、課題が【ビジョン→戦略→プロセス→リソース→組織構造】のどこにあるのかを浮き彫りにすることができ、効率的な改善策の捻出につながります。
それでは、要素ごとに改善のポイントを見ていきましょう。
・ビジョン (Vision、V)
すべてがここに向かって進んでいくため、まず明確かつ適切なビジョンを設定する必要があります。丁寧にミーティングを重ねて決定しましょう。
・戦略 (Strategy、S)
戦略が間違っていれば、その後のプロセスをいかに凝ったものにしても結果にはつながらなくなってしまいます。明確なビジョンのもとに戦略を定めましょう。戦略を考えるのに役立つフレームワークは当社のブログ記事でもたくさんご紹介しているので、参考にしてみてください。また、戦略の検討には情報も必要であるため、市場の動向などの適切な情報が集まっているかどうかもチェックしましょう。
・プロセス (Process、P)
戦略が正しくても、プロセスが不適当なものであれば当然のことながら遂行には至りません。そのプロセスが、戦略の実行そしてビジョンの実現のために適切な手段であるかを検討します。
・リソース (Resource、R)
戦略・プロセスを隙なく組み立てても、リソース(ヒト・モノ・カネ・情報)が足りていなければ動くことはできません。採用、仕入れ、資金調達、情報調達の方法に問題がないかどうか見直してみましょう。
・組織 (Organization、O)
最後に組織構造です。ビジョン・戦略・プロセス・リソースのすべてを改善したとしても、組織が適切に機能していなければ意味がなくなってしまいます。
年功序列によるリソースの運用不全、パワハラ、セクハラによる戦略の機能不全など、組織構造の問題には根深いものも考えられます。経営層から見えづらい問題も洗い出し、対処する手段を考えましょう。
終わりに
VSPROモデルは、項目ごとに企業内部の課題を明確化することができます。
ビジネスにおいて、外部と比較した戦略をどれほど考えても、内部がよく見えていなければ足元から崩れてしまうでしょう。
したがって、VSPROモデルを用いて課題を明らかにしたら、それらを現場の人間と共有して内側から変えていくことが大切です。VSPROモデルでマネジメントシステムを検討する際には、経営者だけでなく現場の人間も共に問題点を考えていくのが理想的ですね!
参照サイト:
起業tv、VSPROモデルとは? 5つの視点で理想のマネジメントシステムと現状を比較するフレームワーク[online] https://kigyotv.jp/news/vspro/ (アクセス日:2020/12/12)
Business Move、フレームワーク、組織のマネジメントシステムを分析できるVSPROモデルとは?[online] https://business-move.net/framework/vspro-model/(アクセス日:2020/12/12)