サービスデザインとは、ユーザーとサービス提供者双方の観点から、組織運営を最適化したりインタラクションをデザインするための活動を表します。サービスという目に見えないものを、人・インフラ・コミュニケーションなどの要素に分解し、それぞれをプランニングしまとめあげていくのです。

モノや情報が溢れる現代社会において、質の高い商品を提供することはもちろん、それをいかに利用者に使ってもらえるかという点も重要となってきました。機能を充実させるだけでなく、「ユーザが何を求めているのか」「長期にわたって使ってもらうためにはどうすればいいのか」という視点で物事を見るようになってきたのです。これが、ユーザの視点に立ってサービスを提供するための仕組み作りである、サービスデザインの基本的な考え方です。
サービスをデザインという考え方は、1980年代にリン・ショスタックによって提唱されました。ショスタックはシティバンク社の副社長を務める傍ら、マーケティングの専門誌にサービスデザインに関する論文を発表しました。これにより、サービスの設計や運営に工学的な手法を用いることが注目されるようになりました。この手法は、イタリア、ドイツなどの欧米を中心に広がりを見せ、2000年以降は、サービスデザインを専門とするデザインファームといった専門のコンサルティング会社が誕生し、大手企業の先端的なサービス創出を手掛けるようになったのです。

サービスデザインを活用することで、これまでブラックボックス化していたバックステージのプロセスが、どのようにインタラクトしているか理解しやすくなりました。サービスデザインの考えが浸透する前は、サービスを個人の経験やスキル任せにしている企業がほとんどでした。個人の経験やスキルに依存してしまうと、その中心人物が抜けたときに、急激に失速してしまうリスクを抱えることになります。そういった組織運営の不安定さを解消する目的でも、サービスデザインは重要視されます。サービスデザインを取り入れることで、一元的な管理が可能となり、市場のニーズにいち早く反応できるようになるのです。

サービスデザインは主に、「」「モノ」「プロセス」の3つの要素で構成されています。ここでいう「」とは、ユーザーと従業員の双方を表します。企業が発展していくためには、ユーザーの求める商品を、より良い形で提供することが重要です。しかし、それだけでは、長期的な成長はできません。そこで働く人たちが、気持ちよく仕事をできるよう環境を整えることも欠かせないのです。そのためには、設備投資をすることはもちろん、人を育てるための投資も大切になってきます。
モノ」には、物理的な空間とデジタル空間の二つがあります。物理的な空間とは、商品を販売する店舗や打ち合わせをする会議室などです。また、そこにあるパソコンや机といったものも、モノに分類されます。デジタル空間とは、公式サイト、ソーシャルメディアをはじめとするweb上のプラットフォームです。一つの媒体だけを使うのではなく、効果の高い複数の媒体をクロスメディア展開していくことが、サービスデザインを成功させるためのポイントとなっています。
そして「プロセス」では、製品や配送チャネルといった顧客に関係するフロントステージと、従業員のエクスペリエンスを含むバックステージから改善を試みていきます。サービスデザインの特徴としては、バックステージのプロセスにスポットを当てた点が挙げられます。


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